私の25年にわたる勤務医経験の大半は、前述の生活習慣病を含む内科全般をベースとし、後半は循環器内科に特化してきました。
大阪大学医学部付属病院での初期研修、済生会富田林病院での総合内科的な経験の後、大阪府立羽曳野病院(現:大阪府立呼吸器アレルギー医療センター)で循環器内科の基礎を固め、一方では呼吸器疾患として見落としてはならない肺結核や喘息、慢性閉塞性肺疾患などの一般呼吸器疾患も経験させていただきました。大阪大学医学部に戻り基礎研究に従事、医学博士取得後はNTT西日本大阪病院を経て2度目の富田林病院勤務を7年間、特に循環器内科領域に力を注いでまいりました。
直近の7年間勤務したのが大阪府立成人病センターです。ご存知ない方も多いと思いますが、成人病センターは日本でも有数のがん専門病院であり、その医療レベルは大学病院と肩を並べるほどであります。
そんながん専門病院で循環器内科医として勤務していますと、それまでの知識では十分な対応ができない、初めて経験するような難しい病状の患者様に接する機会があります。たとえば、過去の心筋梗塞により心臓の働きが弱っている患者様にがんが見つかり、その弱った心臓でがんの大手術やきつい抗がん剤治療に耐えられるかといった相談が、毎日の様にわれわれ循環器内科医を悩ませるからです。それまでは患者様の循環器疾患だけを考えて診てきたのが、がんそのものやがん治療の影響も考慮に入れて方針を決めていく必要があり、これはまさに応用問題でした。しかし、未曾有の高齢化社会とともに三大疾病のツートップであるがんと心臓病はますます増加の一途をたどり、私が成人病センターで経験したような一人の患者様にがんと循環器疾患が併存する難しいケースも増えてくると予想されます。このような治療やケアの難しい患者様に私の経験が少しでもお役にたてるよう努力してまいりたいと思います。
一般的な地域の総合病院としての済生会富田林病院やPL病院、高次医療機関としての国立病院機構大阪南医療センターや近畿大学医学部付属病院、がんセンターとしての大阪府立成人病センター、また、勤務医時代の在籍母体である大阪大学医学部付属病院など、これまでの人脈を駆使して医療連携を推進し、循環器疾患に限らずさまざまな患者様にご満足いただける医療を目指したいと考えています。